<ストレッチとは??>
スポーツや医療の分野におけるストレッチ(英: stretching)とは、 体のある筋肉を良好な状態にする目的で、その筋肉を引っ張って伸ばすことを言います。
筋肉の柔軟性を高め関節可動域を広げるほか、いろいろなメリットをもたらします。
一般的に、静的(スタティック)ストレッチ、動的(バリスティック)ストレッチ、PNFストレッチに分類されます。
<ストレッチの目的・効果(なぜストレッチを行うのか?)>
関節可動域の維持・向上
筋肉や腱を伸張させることで可動域が拡大し、パフォーマンスアップが期待できる
筋肉への血液循環の向上
運動前に血液循環が良くなると筋肉の準備運動ができ、練習や試合が効率的に行える
傷害予防
柔軟性が低いと狭い可動域の中での運動になり、関節や筋肉にかかるストレスも増える
疲労回復の促進・リラクセーション
老廃物や疲労物質の排除、精神的なリラックスが得られる
ストレッチで筋肉が適度に動かされると、血液循環が促進されます。血液が酸素や栄養素を細胞に運ぶことで、効率よく筋肉を動かしたり力を発揮する事ができます。
ところが、運動前後にストレッチを行わないと疲労物質が筋肉内に滞ってしまい筋肉の緊張が高い状態が続きます。それにより怪我を招いてしまうのです。
<ストレッチの必要性(なぜストレッチが大切なのか?)>
― スポーツ傷害の発生原因 -
高度なトレーニングによる筋肉・関節の疲労
柔軟性の低下、筋力不足、筋力のアンバランス
↓
筋力トレーニング
柔軟性改善トレーニング
↓
スポーツ傷害のケアや予防
スポーツ傷害の発生はこの他にも用具(服装やシューズ)、天候、栄養状態など要因は多岐に存在しますが柔軟性を改善する事で防げるケガはたくさんあり、疲労の回復や怪我の予防等にストレッチは欠かせないのです。
<ストレッチを実施するにあたっての注意点>
無理をしない→無理に伸ばそうとすると筋肉や腱を傷める
温まった状態で行う→適度に温まった状態の方が柔らかく行いやすい
リラックスして行う→精神的な緊張を取り除き、無駄な筋肉への力を排除することができる
ケガをしたときは無理をしない→損傷した筋肉や組織の炎症を広げてしまう
☆補足 お風呂上がりなど身体(筋肉)が温まっている時に静的ストレッチなどを行うと効率的
冬場は気温も低く、筋肉も硬くなりやすいため夏場よりも時間をかけて行う事が必要
<ストレッチが有効なスポーツ障害>
柔軟性の低下は、筋肉のアンバランス、疲労、過負荷などを引き起こし、結果的に怪我を招きます。
・必要以上の筋肉への疲労蓄積
→肉離れ・シンスプリント
・腱,軟骨,靭帯に牽引力(柔軟性が低下している筋肉に対し腱や軟骨が引っ張られる)がかかる
→アキレス腱炎、アキレス腱周囲炎・オスグッド・膝蓋靭帯炎
・首,背中の柔軟性低下
→肩こり・腰痛・上腕二頭筋腱炎・インピンジメント症候群etc…
・股関節の柔軟性低下
→腰痛・オスグッド・ふとももやふくらはぎの肉離れ・投球障害肩etc…
患部の柔軟性の低下も怪我の要因として挙げられますが、患部以外の関節や筋肉の硬さに起因する怪我もたくさんあり、特に股関節の柔軟性の低下は下肢の怪我のみでなく腰痛や肩の怪我をも招いてしまうのです。
各部位や痛みに必要なストレッチを行うことでこれらの怪我を未然に防ぎ、痛みを和らげることが可能です。
<ストレッチの種類>
スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
//反動やはずみをつけずに筋肉をゆっくり伸ばし、筋肉が伸張した状態を維持する静的ストレッチ(30秒程度)
※身体が硬い人は15秒×2~3セットや深呼吸2・3回などリラックス状態で行えるものを選択すると良い
特徴・・伸張反射が起きにくい、方法が簡便、1人で実施できる、全身実施するにはある程度時間が必要、単一方向のみの伸展に留まりやすい
ウォーミングアップ(w-up)・クーリングダウン(c-down)共に用いられる場合が多く、w-upで行う際はジョギングなど筋温を高めてから行うことが効果的である。c-downでは、疲労物質の排除や精神的なリラックス効果も得られるため多く用いられる。特に練習後に有効である。
伸張反射・・・筋肉が過度に伸張されると筋肉がそれ以上伸ばされて傷害を起こさないように反射的にその筋肉を収縮させる生体防御機構の1つ。
バリスティックストレッチ(動的ストレッチ)
//反動やはずみをつけて行う動的ストレッチで、一般に同じ動作を8~12回繰り返す(ブラジル体操やラジオ体操)
特徴・・筋温の上昇、心拍数の上昇、運動に必要な可動域の獲得、急激な伸張により筋線維の微細損傷や痛みが生じる可能性がある
それぞれの競技種目に合わせたストレッチが可能でw-upに用いられることが多い。特に練習前に有効である。
PNFストレッチ
//PNF(ピーエヌエフ:固有受容性神経筋促通法)は1940年代にアメリカで誕生した主にリハビリテーションなどで用いられる促通手技の一つの方法。身体に備わる「反射」を促通手技の結果として反応させて、神経・筋機能の向上・関節の可動域等の回復を図ろうとするものである。
特徴・・短時間で大きなストレッチ効果が得られる、複合関節にも適応可能、方法を誤ると筋肉の微細損傷や疼痛の増大を招く、基本的にはパートナーで行われるが1人でも可能(解剖や筋の特性を熟知していることが前提)
w-up・c-down共に用いられることがあるが、パフォーマンスの向上・傷害の予防・及び回復に効果を示すという観点からスポーツにも採用されトレーニングとしても行われる。手技は高度だが可動域の改善には有効である。