ドーピング

<ドーピングとは??>

  スポーツなどの競技で好成績を挙げるために薬物を投与したり、その他の物理的方法を採ったりすることを指し、オリンピック競馬など全ての競技で使用が禁止され、違反行為となります。ドーピングが禁止される理由は、「スポーツ精神に反する(フェアではない)」「競技者にとって有害である(副作用)」「社会悪である(薬物汚染の助長)」と言った面から禁止されています。

 

世界アンチドーピング機構(WADAがドーピングに関し統括しており、国内の防止機関としては、財団法人日本アンチドーピング機構(JADAが国内のドーピング防止活動を統括して推進しています。

国際的に共通ですべての競技に適用されるドーピング防止のルールが定められており、

WADAの規定では、ドーピングの検査の陽性以外に、

確実な証言や証拠などによる、ドーピングの証明ドーピングの検査拒否ドーピングの検査妨害共犯関係のスタッフの行為

などもドーピングと規定しています。

WADA規定の下に、より具体的なドーピング防止活動の

ルールとして「検査」「治療目的使用に係る除外措置(TUE)」「禁止表(禁止されている物質・方法)」など5つのWADA国際基準が作成されています。※WADA規定は4年ごと、国際基準は1~数年ごとに改訂されます。

 

<ドーピング検査>・・・検査基準、どの様に、どの様な大会で行われるか

 

ドーピング検査は尿や血液を採取しWADA公認検査機関で分析されます。ドーピング検査には、大きく2種類あります。

 

競技会検査(ICT

競技会に関連して行う検査。競技会の成績上位者やランダムな抽選で対象者が選出

チーム競技では対象試合を決定し、各チームから抽選で対象競技者を選出することが多い

 

 

競技会外検査(OOCT)→競技会以外のトレーニング施設・宿泊施設で行われる競技会に関係せず行う検査。あらかじめ国際競技連盟(IF)またはJADAが設定した検査対象者登録リスト(RTP)の中から焦点をしぼった選出、重みづけによる選出、あるいはランダムな選出が行われる

 

 

※国際競技連盟(IF)JADAは、競技者に対してあらかじめいつどこにいるのか居場所情報を提出させ、その情報に基づいて事前通知なくOOCTを実施し、居場所情報が誤っていたために検査が実施できないと、ドーピングと判断されます

※ドーピング検査対象となる大会は事前に通知される(大会要項に記載されている)ためしっかりと確認を行いましょう

 対象となる試合にエントリーした時点で、防止規定に従いドーピング検査に同意したものとみなされます

※現在、高校総体(一部の競技)や国民体育大会でもドーピング検査は行われています                                         

ドーピング検査の流れは、検査立案→検体採取・封入→検体分析→ 陰性or陽性

陽性の場合、結果管理→聴聞会→処分の決定→上訴 となっており、聴聞会では検体陽性となったアスリートが意見などを述べる弁明の機会が与えられ、処分の決定に不服がある場合は決定の日から14日以内に一般財団法人スポーツ仲裁機構に不服申し立てが可能とされています。

 

<治療目的に係る除外措置:TUE>・・・治療や怪我で禁止物質を使用せざるを得ない場合の措置

 

病気や怪我の治療のために禁止物質や禁止方法を使用する必要がある場合は、所定の申請を行い許可されれば使用できます。ただし、治療上必要であり、他に治療法がなく、使用しても競技力を高めないものに限定されています。

提出先・・・競技者の競技レベルによって異なり、国際競技連盟(IF)が国際レベルに指定した競技者はIFへ、それ以外の国内レベルの競技者はJADAへ提出する。

 ※原則TUEが必要な大会の30日前までに提出  ※国際レベルの競技者の申請は英語で記入

 

<禁止薬物・禁止方法>・・・常に禁止される物質・方法と競技会のみで禁止されるものに分けられる

 

常に禁止される物質・方法【競技会検査および競技会外検査】

物質→無承認物質(人体への治療目的使用がどの政府保険医療当局でも承認されていない物質)/蛋白同化薬/ペプチドホルモン/成長因子及び関連物質/ベータ2作用薬/ホルモン調節薬および代謝調節薬/利尿薬及び他の隠蔽薬

方法→血液及び血液成分の操作(輸血で赤血球数の量を増やして酸素運搬能力を強化する方法)

   化学的・物理的操作(ドーピング検査で採取する尿検体のすり替えやカテーテルの使用)

   遺伝子ドーピング(競技能力を高めるために遺伝子を改変すること)

 

 

常に禁止される物質・方法に加えて、興奮薬(特定物質・非特定物質/麻薬/カンナビノイド/糖質コルチコイド

特定競技において禁止される物質

アルコール、ベータ遮断薬

特定物質は競技者がドーピング目的の使用ではないことを証明した場合は懲罰が軽減される可能性がある。

 

※違反者に対する懲罰として、非特定物質の違反の場合は1回目の違反で2年間の資格停止特定物質の違反の場合には1回目の違反では警告から最長で2年間の資格停止が課される。2回目の違反に対しては違反の種類によって、最長一生涯の資格停止となる。なお、チーム競技で1つの大会中に同一チームから2名以上のドーピング陽性者が出た場合は、そのチームのメンバーに対してさらに検査が実施され、またチームが失格する可能性もある。

 

<注意すべき市販薬>・・・漢方薬・サプリメント・風邪薬

 

漢方薬の生薬成分で明らかに禁止物質を含むものは、麻黄・ホミカ・鹿茸(ロクジョウ)としています。健康食品・サプリメントは医薬品ではなく食品に分類されるため、製品に全て成分記入はされていないため注意が必要です。風邪薬も禁止物質の含まれるエフェドリン類など多くの禁止物質が含まれている可能性があります。

右図には使用可とされている下熱鎮痛剤や感冒薬を抜粋して掲載していますが、似たような名前で処方が異なる物もあり名前などが完全に一致していることを確認した上で服用する必要があります。

薬局で購入できる外用薬(軟膏など)には糖質コルチコイドを含有する製剤があり、皮膚・耳・鼻・口腔内および目の疾患に対する局所的使用と痔に対する外用薬は許可されていますが、何回も多量に使用し体内に吸収されるとドーピング違反が疑われる可能性があります。

 

 

※葛根湯・小青竜湯・五積散・防風通聖散などの漢方薬は禁止物質を含んでいるので使用すればドーピング違反となります。

医師から処方されることの多い禁止物質として、糖尿病治療のインスリン・喘息治療のベータ2作用薬・痛風治療のプロベネシド・かぜや鼻炎の治療薬でエフェドリン類、高血圧治療で利尿薬やベータ遮断薬があります。自分がドーピング検査対象となる試合に出場する際は特に、毎年11日に改定される禁止表の確認を行いドーピング検査違反にならないよう努める必要があります。

薬局で薬を購入する場合は、各都道府県の薬剤師会に設置されている相談窓口(薬剤師会ドーピング防止ホットライン)に問い合わせを行い、JADA公認スポーツファーマシスト(最新のアンチドーピングに関する知識を持つ薬剤師)に相談を行う必要があります。インターネットでスポーツファーマシストの検索が可能なので、事前に近くのスポーツファーマシストのいる薬局を検索しておきましょう。生野区では…育和会記念病院・ふじ薬局・ロート製薬株式会社など

スマートフォン対応アプリ「JADA」には、ドーピングについての知識や今年度の禁止表も掲載されているのでダウンロードしておくといざとなったときに便利でしょう!

 

ドーピング違反にならない薬剤 

例えば・・・

・バファリンA(ライオン)

・ロキソニンS(第一三共ヘルスケア)

・新ルルエース(第一三共ヘルスケア)

・パブロン50(大正製薬)

・コンタックせき止めST(GSK)

・大正胃腸薬Z(大正製薬)

・ガスター10(第一三共ヘルスケア)

・コーラックソフト(大正製薬)

・新ビオフェルミンS錠、細粒(武田薬品)

・メンソレータムE(ロート製薬)

このマークは、2013WADA禁止表に抵触しないJADA認定商品として承認されており、認定商品として認めた商品に対し、ラベル上での貼付用に用いるマークです。 JADAの設ける基準をクリアしていることを表し、JADAとしての保証を示しています。 青空の下で走る人の絵柄と、ドーピング検査クリアの「OK」を意味する円を組み合わせたマークです。クリーンで、健全なスポーツマン精神を表現しています。